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日本史(戦国史)やらゲームやら漫画やらメインに 二次創作と妄想を垂れ流すサイトです。 初めての方は”はじめに”からどうぞ。
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writer:柴漬亀太郎 2024-04-27(Sat)  
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遙か昔に
writer:柴漬亀太郎 2009-01-31(Sat) 戦国(小説) 
山県×高坂が書いてみたいな…!うんごにょごにょ見たいな事を喋ってたんですが
あれからどのくらい立ったのかはわかりませんがこともあろうにとりあえず完成しました(爆)
女性向けを意識したつもりなんですが思ったよりそれっぽくならなかったような気もするので
まあいいや…と晒すことにしました。こ、更新するものがもう何も無いの…!!
あと、ウチの香坂気持ち悪くてホントすいません。


「愛を知りせば」(気持ち山県→高坂の気持ち山県×高坂)
※微女性向け注意!※でも別にそういう描写があるとかじゃないです。むしろ無い。
苦手な方やありえNEEE!!という方は見ないことをオススメします。まだ飯富でまだ春日。
嘗ての彼らと、今の彼ら。



(山県と香坂…飯富と春日)








飯富昌景が春日虎綱のことを回想するとき、
一番初めに頭に浮かぶのは夕焼けの中伸びる影の先に立つ心許ない背中だった。
屋敷の裏の茂みを少し行った先にある崖の下に、その背中はぽつんと立っている。
時折、堪えきれぬ嗚咽交じりにその細い足ががつん、がつんと切り立つ壁を蹴り付ける。
がつん、がつんと、壁は何も言わず、背中も何も言わず、次第にその肩を震わせるだけで
動かなくなった。その垂れた頭が、握り締めた拳が、その背中と合わさりたった一つの影
となって、赤い夕暮れの中に長く長く延びている。
声をかけたことはない。かけることもできない。見つめているだけ。
友ならば声をかけてやるのが情なのに。友ならば黙って立ち去ってやるのが優なのに。
昌景が動かず、声をかけることが出来ない理由は、そのどちらでもないのだ。
ただただ、その目の前の光景に目を奪われて、――――――

 

とすり、と頭に生じた軽い衝撃と違和感に意識を引き戻される。
振り返れば虎綱がその端正な顔を意地悪く歪めてこちらを笑っていた。
そのからかうような笑顔が気に食わず眉を顰めてから、頭にかかるほんの僅かな重みに気がつく。
先ほどの衝撃の正体かと確認するべく頭上に手を伸ばそうとした手は
馬鹿!と小さく叫んだ香坂の手によって空中で固定され、指先は空しく空を掻いた。
一体全体何なんだ、と口には出さずに怒気と呆れの混じった目で訴えかけようとして、
突如突き出されたものに視界は奪われた。焦点の合わない白。芳しい香りが鼻から吸い込まれて―

「…百合?」
「お、流石のお前でも百合くらいは知ってたか。そう、山百合。綺麗だろ。ちなみに今お前の頭に乗ってんのも同じ。」

折角綺麗に差し込めたんだ、触って崩すんじゃないぞ。
そういってくすくすと笑う虎綱の顔は明らかに面白がっているそれだ。
鏡で確認せずとも分かる。今の自分は相当に滑稽な姿となっているのだろう。
それにしても、少々上の空だったとはいえ虎綱にこのような真似を許すとは。
自分よりずっと背の高い偉丈夫の虎綱からすれば頭上からの攻撃は容易いものだったのだろう。
彼がそれを思いつき、自分が隙を見せまさに格好の的となった瞬間のことを思うと腹立たしい。
虎視眈々と狙っていた機会を手に入れた瞬間のほくそ笑む顔が浮かぶようだった。

「いやあ、頭の中でも色々考えてはいたんだが昌景。お前予想以上に似合ってるぞ。何というか、逆に…ってやつだ。うん、可愛い可愛い。やっぱり外すのは勿体無いぞ?」
「…馬鹿を言え。そうやって人を笑いものにしようとするのは関心せん。」
「おいおい、そりゃあからかう心がないとは言わないがなぁ!相変わらずお堅い奴だなぁ…本当に結構似合ってるってのに。ま、勿論俺ほどではないがな。」

もう一つ手に持っていた百合の束を揺らしてふっ…と不敵に笑う虎綱を、
昌景はいつも通り呆れた瞳で見て現在只一人の観客となってやる。
(だったら、お前がつければいいのに。)
その一言は、喉まで出掛かってしかしゆっくりとその奥に引き戻された。
昔とは違って、虎綱はずっと背が伸びて逞しい体つきの誰もが認める美丈夫に成長した。
たしかに昔のような形でとは言えず少々不自然な構図になるかもしれないが
自分とは違って、それ本来の本当の意味で、今の香坂にも百合の飾りは似合うように思った。
言うまでもない。虎綱は笑い飛ばすだろう、とあと、もう一つ、ふと、思ってしまったことが
何となく昌景にその冗談めいた一言を、冷たく引っ込めさせた。

 


飯富昌景が春日虎綱のことを回想するとき、
一番初めに頭に浮かぶのは夕焼けの中伸びる影の先に立つ心許ない背中だった。
夕暮れに佇む背中は、少年は黙って、ただ歯を食いしばって孤独に屈辱に痛みに耐えている。
がつん、がつんと細い足が切り立つ荒い壁を何度も何度も蹴りつける。何度も、何度も。
(ちくしょう、ちくしょう、ちくしょうちくしょうちくしょう…)
その天から授けられた端正な顔が、涙で、鼻水で、憎悪で憤怒で悲しみで苦しみで
壮絶に歪む。どうにも成らないことに対する苛立ちと諦めと、どうにかしようとする
抗う野心と屈服に誘う劣等感がぶつかり合ってせめぎあって、それらを飲み込んで醜く歪む。
大切な友人。美しい少年。百姓上がりの。才気に満ち溢れた。稚児と揶揄されて。頑固な自信家。
負けん気ばかり強い捻くれもの。けれど誰よりも何よりもまっすぐ只管に、努力し続ける――――
夕焼けに取り残されたその背中に、しかし昌景は声をかけたことは無い、かけることは出来なかった。
情けからでもなく、優しさからでもなく、昌景はただ呆然とその光景に目を奪われている。
彼の悲鳴も慟哭も、誰にも届くことはない。届かせまいと飲み込む醜悪なその様を、
昌景は美しいと思ってしまった。絵画のように切り取っても、言葉にして紙に刻んでも、
捉えきることなど叶いはしないだろうその壮烈な美は、昌景の網膜に痛いほど焼きついた。
声をかけたことはない、かけることなど出来ない。けれど、立ち去ることも出来なくて。
背中が啼く、闇の帳は落ちて行く。
その場から動くことも目を逸らすこともできないあの日の自分を、昌景は今だって――――

 

 

「――――――源四郎!!」
「………ッ!」

ぼすっと鼻につく花粉の香りと瑞々しい花弁の感触で白昼夢は終わった。
終わった、と認識する前に思わず吸い込んでしまった花粉に息が詰まり、そして

「うわっ!汚なっ!!おいおいおい爆発は予告してからやってくれ!!お前のは音がでかいんだよしかも飛距離も達人級なんだよ!!…あーあー…花をぶっ飛ばすかね普通…。」
「う、…うるさッ…ぶえっ!!もとはと、言えばお前が…!!」
「あーあー、悪かったよ…にしたって折角はるばる遊びに来てやった大親友サマの前でぼけーっとしてくれちゃってる方も方だと思うけどなぁ、俺は。」
「…お前が勝手に押しかけてきたんだろう…。」

散々人を笑いものにしてくれた後にしてはあまりに横柄過ぎる態度だ。
くしゃみの件といい元はお前のせいだろうと文句の一つでも言ってやろうと思ったのだが、
やはりやめた。言っても無駄だという気持ちが半分、後ろめたい気持ちが無いわけではないからだ。
まあいい、どうせこの男に口先ではまず勝てない。
憮然とする昌景を見て、その姿の何が面白いのか虎綱は楽しそうに笑う。
目の前のずっと大人びて男らしくなった端正な顔が笑う姿がかつての少年と重なって、
ぶれて擦れて滲んだ。虎綱は楽しそうに笑う。今も昔も、けれど。
ふと、目の前が再び白くなる。なんだと思う前に、もう三度目だ、理解する。百合の花。
どうやら虎綱は先ほど自分が(不本意にも)吹き飛ばしてしまった束とは別に
更に百合の花の束を持ち合わせていたようで、もう一度そっくり出してきたことを
得意気にしているのか、にやにやしながら再び百合の花束を突き出してきた。
…相変わらず用意のいいことだ。
もう驚いたぞ、と肩をすくめて意思表示しそのまま花束を持つ手を押し返そうとする。
しかし、突きつけられた白い花はいっこうに引き下がる気配は無い。

「…なんだ。」
「早く受け取れ。やるよ、奥方にくれてやれ。ついでにお前とお揃いだぞ?」

だから崩すなよ?と虎綱は自分の頭と昌景の頭を交互にを指差して笑い、
花束を無理矢理昌景の腕の中に押し込んだ。
花がつぶれるのでは、と思ったが幸いそんなことにはならず、淡い香りが鼻腔に届いた。

「…どういうことだ。」
「うわっ…それ本気で言ってんのか…?うわー、御屋形様ー、乙女心の”お”の字も知らない奴がここに居りましてございまするー!」
「…そういうところではない。どういうつもりなのだ、ということを聞いているのだ。」
「………俺だって分かってるよ。はあ…本当冗談の通じない奴だよなぁお前。」

そこまで真面目に返されると俺が馬鹿みたいだ。
虎綱は少し顔を赤くして呆れたように溜息をついた。その溜息の大げささが、
昔からのことだが少々癇に障る。更に憮然とした表情が深まったのだろう、
降参だといわんばかりに両手を挙げて首を横に振った。

「別に、そんな深い意味はないさ。敢えて言うなら俺から新婚の昌景殿に遅ればせながら気の利いたお祝いの品ってところだな。」
「…祝いの品ならもうお前からも貰ったが。」
「だからそういうことじゃないって…まあ、いいや。じゃああれは同僚・虎綱虎綱から、これは親友・春日源五郎サマからお前と奥方様に愛を込めて…ってことにしといてくれ。」

さも妙案を思いついた、というように香坂は―――春日源五郎だった青年は快活に笑った。
虎綱は良く笑う。自分と違って子供のころから、彼が春日源五郎で自分がまだ飯富源四郎だった頃
から。一番沢山、笑った顔を見てきた。見慣れたはずのその笑顔がどこか眩しくて目を細める。
虎綱は今も良く笑う。同じように、意地悪げに、皮肉げに、自信たっぷりに、楽しそうに。
目の前の虎綱の笑顔が、昌景の脳裏の片隅に橙色の靄を呼び起こす。
大切な友人。美しい少年。百姓上がりの。才気に満ち溢れた。稚児と揶揄されて。頑固な自信家。
負けん気ばかり強い捻くれもの。けれど誰よりも何よりもまっすぐ只管に、努力し続ける――――
親友から曰く愛を込めた花束に目を落せば、優しい白の花弁が折り重なり寄り添いあっている。
端正な青年の顔立ちにかつての少年の笑顔が重なって、滲んで、溶けて消えた。
ああ、これは寂寥感、なのだろうか。むずかゆい、喜ばしいような切ないような気持ちにぼんやりする。
虎綱の笑顔に、もうあの日の陰は、ない。

「そうか。ならばありがたく受け取っておく。彼女も、喜ぶだろう。」
「ああ、そうしてくれ。だから頭のは家に帰るまで外すなよ?できればお前から奥方にってことにしたいところだが…」
「そういうことに、嘘をつくのは好かん。」
「はいはい、分かってるよ。だから俺からってことで。」

ほらほら行った行った!と手を振り昌景追いやる虎綱の姿にはて、と首をかしげる。

「寄って行かんのか。」
「このまま俺までついてってどうする。なんだお前俺に奥方取られてもいいのか?」
「それは困るが。…お前もいい加減、身を固めることを考えたらどうだ?」

急にあらぬ方向に話が飛んだと思ったのか、虎綱は少しの間目を瞬かせたが、
直にいつもの余裕たっぷりな態度を持ち直し、大仰な妙な手つきで肩をすくめ腕を組み、
わざとらしい身振り手振りでからかうように笑った。

「考えてなくはないさ。けど、今は他にやりたいことが沢山あるからな。…ま、いざ俺が本気になったらどんな良家の美しいご息女だろうと選り取り見取り、引く手数多ってやつだからな。今は他の男共のために遠慮してやってるんだよ。」
「そうだな。」

その通りだ、と思ったので素直にそう答えると、その答えは先ほどの問いよりずっとずっと
予想外だったようで虎綱はより驚いた様子だった。「へぇ」だか「はぁ」だかよく分からない
呟きを零し目を丸くしていた。そんな様まで絵になる男だ、と何となく思った。

 

「今のお前ならそうだな。前より、ずっと男前になったからな。」

 

そんな絵になる男が絶句する様など、今までそしてこれから先どれほど見れるだろう。
虎綱は言葉も無く唖然として、ただぽかんと口を開けた間抜け面で昌景を見つめていた。
そんな間抜け面でも不思議と魅力があるのだから、本当に困ったものだ。
それにしても虎綱のこんな顔は久しぶりだ。不謹慎だが昌景も人の子だ、なんだか可笑しくて
久方ぶりに声を上げて笑った。その笑い声に流石の虎綱も我に返ったようで
ほんのり顔を赤くして何か言おうとして、やっぱりやめて暫く首をかしげていた。
む、む…などと唸りながらなにやら腑に落ちない顔をしていたが
そんなに可笑しいことだろうか。堅物と思われているが自分にだって意趣返しぐらいできるのだ。

「源五郎、やはり寄って行け。その間抜け面ではうちのも靡きはせんだろうから、心配は要らんぞ。」

今度は憮然とした表情でついてくる虎綱を適度にあしらいながら昌景は屋敷への道を
歩き始めた。ああ、よく見ればこの花束は随分綺麗な百合が揃っているのだな、と思い
山路で大真面目に百合の選別をする青年の姿を思い浮かべて自然と頬が緩んだ。

 

 

 


あれから、どのくらいの時間が。

 

飯富昌景が春日虎綱のことを回想するとき、
一番初めに頭に浮かぶのは夕焼けの中伸びる影の先に立つ心許ない背中だった。
嗚咽を堪えて立つ背中を、昌景はただ黙って立ち尽くし、見つめている。
橙と黒の影絵の世界に沈む想い出は既に遙か遠く、
あのときの少年はもうどこにもいない。あのやせっぽちの震える背中は、どこにも。
けれどあの日々を、今でもあれほど色鮮やかに思い起こせるのは、
あの光景に打ち震えた胸の鼓動を今でもしっかりと反芻できるのは。

ああ、あの日の少年はもうどこにもいない。
今ここで鮮やかに咲くのは、美しく歪んだ遠い孤独に愛を以って根を張った大輪の花だった。











…というなんだかよく分からないお話だったとサ(オイ)もともと時代設定が微妙に違う話を書き直したので「まだ香坂じゃNEEE!!」とか言いながら直すのがめんどくさかったです…なんか色々直し間違えてたら教えてください(人頼みか!)初期段階では山県→香坂がもっと露骨な感じで香坂が「俺は愛を振りまく自由人SA☆」みたいなことをほざいていると言う更に意味不明な話でした。山県と香坂は正反対同士お互いに羨望を抱いているといいな、という妄想を煮詰めるとこんなんになります。孤独で皮肉屋でコンプレックスの塊だった春日少年は愛を知って(細かくなんだとは言わないが)変わって成長したのだよ!とそんな春日少年の成長を見守ってきたからこそ「綺麗になったな…」とおもう山県の話…ってなんだコレ……

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