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writer:柴漬亀太郎 2024-05-08(Wed)  
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ちょこっと浮上
writer:柴漬亀太郎 2010-02-06(Sat) 南北朝時代(小説) 

そしてよりによって更新するのがこれかいっていう。
南北朝の現代パロで二代目将軍兄弟です。妄想前回の時期に書いたんで大分残念だよ!(いつものことだ)
創作歴史現代パロが苦手な方は閲覧注意。っていうかもう創作歴史である意味がないよねコレ。



「お前の頭はどこにある」(義詮と基氏)
現代パロ二代目将軍兄弟。常にいっぱいいっぱいな兄と反抗期まっさかり(?)な弟。
多分大学生と小学生な感じだがその設定に大した意味はなry
 






「…兄さん。」



努めて冷静に、むしろ優しく声をかけたつもりだったが、
相手には自分が思っているよりずっとずっと恐ろしい響きを持って届けられたようだった。
大げさなくらいに跳ねた背中が恐る恐る振り返る。
…そんなこの世の終わりみたいな顔、しなくてもいいじゃないか。
苛立ちを気取られまいとしたけれどもそれは叶わなかったのだと、
兄の顔がますます泣き出しそうに歪んだことで知る。
それ以上はもう考えるのも面倒になって手にしていたもう一本の笠を乱暴に突き出した。

「捜したよ。こんなところで傘も差さずに何やってんのさ。」
「……。」
「ほら、帰ろうよ。兄さんはただでさえ体が弱いんだから風邪でもひいたら大変なんじゃないの。」

今度は努めて迷惑だという形を崩さないように気を使った。
事実迷惑であったし、兄の考えの足りない行動に呆れもしていた。
こんな風に人の手を煩わせる様もうっとおしいし、
そうしておきながらその自覚が在りながら黙って結局何も答えぬその態度にも腹が立っていた。
体の心配など建前にもならないただの皮肉だ(だいたい小学生に心配される大学生ってどうなのだ)
だのに、兄がなかなか傘を受け取らずに雨にじっとうたれている姿が、一番基氏を苛立たせた。
基氏と年の離れた兄義詮の関係は、もうずっとこの調子だった。
互いが互いに無関心なわけではない。仲が悪いわけではない。けれど良くも無かった。
いつの間にか、ではない。考えてみれば、兄弟仲睦まじかった時期など果たしてあっただろうか。
それどころか盛大に喧嘩をした覚えさえない。ましてや共に遊んだ記憶など。
平均的な世の兄弟よりも年の差が大きいことは確かにその一因となっただろうが、
基氏はそれが最もたる理由だなどとは思っていない。
自分達の間の溝が溝たる所以はもっと根深く、しつこく、単純で、きっと死ぬほど下らないものだ。
そしてそうであるが故に、それはもう永遠に埋まらないものだと基氏は諦めている。

「……兄さん。」

目の前の傘からは決まり悪げに目を逸らして、
義詮はまだ庭木の茂みのほうに目を泳がせていた。
何をして何を考えているのかはしらないが往生際が悪い。
それともこの期に及んでまだ兄としての体面とやらでも考えているというのか。
その濡れた肩に直接傘の柄が押し付けられてようやく、義詮は何かを諦めたかのように
小さく息を吐いて立ち上がった。それでもその目はまだ、何かを探すように遠くを向いている。

「………逃げられた、のかな。」
「…はあ?」
「とても、綺麗な殻のカタツムリだったんだけど。…それとも。」

見間違いだったのかな。
うわ言のように独り言のようにポツリポツリと呟かれた言葉に、基氏は目を丸くした。
ぽかんと口を開けて兄を見上げて、一拍遅れて猛然と込み上げてくる呆れと怒りに絶句した。
カタツムリ。蝸牛。マイマイ。
そんなものをたまたま見かけたからわざわざ雨の中に飛び出しただって?
それが曲がりなりにも大学生のすることか。カタツムリなんて珍しくもなんとも無い。
というかカタツムリに逃げられるなんてのが一番ありえない。
家のなかから遠回りしてきたって、普通は捕まえられるだろうが!
逃げられるとかどんだけのどん臭さなんだ。うちの兄はカタツムリ以下か。
見間違いだよ完全に!というか、見間違いであってよ!!
俯いた基氏の眉間にみるみる皺がよっていくのを見て、
義詮は己のそれが失言であったことに気付いたのだろう。
決まり悪げに、基氏の傘を奪い取って「帰ろう」と彼のほうを見むきもせずに踵を返した。
迎えに来た弟を気遣うこともなく、ぱしゃんぱしゃんと跳ねる水音は遠ざかっていくが、
基氏はそれに特に気分を害することなく―――いや、それには、気分を害することなく、
遠ざかる青い傘を憮然とした表情で見送っていた。

(ばっかじゃないの。カタツムリ。たかがカタツムリのためにこの雨の中?小学生でもしないよそんなこと!)

恥ずかしいったらありゃしない。
本来なら基氏が恥ずかしがる必要などないのかもしれないけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。
そんなことで風邪をひかれたら堪ったもんじゃない。
やっぱり兄はどこか抜けている。どうにも一番大事なところを理解してくれない。
どうして兄さんはああなのだろう。けして愚鈍ではなく幼稚でもないと基氏は思っている、けど。
けれどやっぱり兄さんは何かどうしようもなく分かっていないのだ。その様がイライラして仕方がない。
基氏は兄のそういうところが昔から嫌で嫌でたまらなくて、まさか大学生になってもそうだとは思わなかった。
本当にいい加減にしてほしい。
ずっとずっとそう思って、今日またその思いを新たにさせられたというわけだ。
ため息なんだか舌打ちなんだか分からない、ぐちゃぐちゃになった空気が雨に溶けた。

 

基氏は暫くその場から動きだすことができなかった。
その瞳は地面を這って、兄が座り込んでいた紫陽花の茂みの一帯に向けられている。
(…いい加減にしてよ。)
いい加減にして欲しかった。けど、いい加減にどうなって欲しいのか、答えられなかった。
基氏は昔からずっとずっとずっと、兄のそういうところが嫌いだ。
自分の机の上に置かれた空っぽの虫かごを思い出して、乱暴に足元の泥を蹴り飛ばした。











基氏はお兄ちゃんが大好きなんだよきっとそうだそうなんだとか思ってたらいつのまにかこうry こんな感じの微妙な兄弟関係を中心とした南北朝現代パロ連作がやりたいと思っていた時期が私にもありました。そもそも現代パロにする意味はどこにあるのだ。

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