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日本史(戦国史)やらゲームやら漫画やらメインに 二次創作と妄想を垂れ流すサイトです。 初めての方は”はじめに”からどうぞ。
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writer:柴漬亀太郎 2024-05-09(Thu)  
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リクエスト話。
writer:柴漬亀太郎 2008-05-02(Fri) 戦国(小説) 
リクエスト頂きました「信幸と信繁がひたすら仲の良い話」です。
仲がいいって言うか正直…気持ち悪いです…(オイ)
キャラ崩壊警報とともに、こんなんでよかったら…どうぞ(良くないわ)

「酒は飲んでも」(信幸と信繁)
二人の酒盛りの話。ブラコン警報発令中。
酒事情については適当です(死ね)この時代のアレって徳利でいいの?




「おい…まだ飲むのか?」
「もう飲まないんですか?」

酒、酒、酒酒酒酒酒酒酒酒酒酒酒。
もう何杯目になるか数えることなど疾うに放棄した。
大小様々、その中身も様々な徳利に囲まれながら
辟易した信繁の言葉に信繁はきょとんと首をかしげた。
そのあまりに邪気の無い仕草――というより先ほどより顔色一つ変えずに酒を煽る弟に
内心バケモノめ、と悪態をつきながら信幸は信繁の突き出してくる新たな徳利を手で遮った。
意識は今だ何とかはっきりとしてはいるものの顔は熱いし体も重い。少しぼんやりする。
流石に今夜は飲みすぎた。明日の醜態を考えると自分の軽挙を反省せざるを得なかった。
(…もう二度とこいつと同じ調子で酒は飲まない。)

「”まだ”って…源三、まだまだとっておきはこれからなんですよ!これなんかはですね、越後でオススメの一品なんです。俺も向こうで初めて飲んだんですけど、親父殿も結構気に入ってて…あ、勿論京で買ったやつもありましてね、」

そんな兄の心中を知ってか知らずか(十中八九知らないだろう)
信繁はどっから取り出したのかさらに見たこともない徳利を突き出して
熱の篭った(ように見える)解説を始めた。次々と見たこともない器がどこからか現れる。
若干興奮気味なのか信幸の呆れ顔は完全に目にはいっていないようだった。

「更に、更にですね、これなんと琉球から渡ってきた貴重品なんですよ!向こうでお言葉に甘えて頂いてしまったんですけど…これは源三と一緒に飲もうと思ってまだ」
「あー、あー源次!ちょっと待て、一旦待て、少し待て。」

更に興奮の度合いが加速し、これ以上行くと取り返しのつかなくなると判断した信幸は
珍しく語気の弾んでいる弟の講釈に水を差す罪悪感を抱えながらも一旦信繁の言葉を制した。

「…悪いが源次、俺はもう今日は無理だ。今だってくらくらするのに、これ以上飲んだら酔いつぶれる。」
「酔いつぶれてもいいじゃないですか。」
「オイ。」
「冗談ですよ。そうですか…もう無理ですか…」

絶対冗談じゃなかった。
さも当然のようにしれっと言ってのけた弟の目が真剣そのものだったのを思い出し、
信幸はため息をついた。弟の酒好きは知っていたが、まさかここまでになっているとは。
思えば昔から父の酒盛りに付き合っていたとはいえこれは大坂に行き悪化したといわざるを得ない。
だって前はこんなんじゃなかった。
兄弟で酒を飲み交わすことは度々あったが底なしの信繁といえどきちんと節度を弁えていたし、
酒を飲むことよりもお互いの会話を楽しむような時間だったと記憶している。
そもそも上州に入ってくる酒の種類だってあの頃は少なかったはずだ。
(…そうか、それでか。)
物流の激しい西の港での生活は弟を新しい酒の世界にのめりこませてしまうのに十分だった訳だ。
ああ確かに期待した。華やかで活気のある、時代の流れを象徴するまったく違う世界に触れることで
閉鎖的に、ある意味盲目的に育ってしまった弟が変わるかもしれない可能性に期待した。
…確かに変わった。こんなに生き生きとした信繁を見るのは久しぶりな気もした。
でも違う。俺はこういうのを期待してたんじゃないって。

「どうしても駄目ですか?見る限りではまだまだ源三いけそうじゃないですか。」

いつもならそのまま残念そうに引き下がる信繁だが今回は珍しく食い下がった。
手にした酒はよほど自慢の一品で、信幸と飲むときを楽しみにしていたのだろう。
そして、しかし”今日”だけで考えれば信幸がまだ飲める状態であることを的確に見抜いている。
罪悪感と、しかしここで甘やかせば絞まるであろう明日の我が身を考えながら信幸は手を振った。

「おいおい限界まで挑めってか…?俺はお前や親父ほど酒が好きじゃないし…強くもないんだってことよく知ってるだろ?向こうではどうだったか知らんが嫌がる人間に無理矢理飲ませるのはよくない。実によくないぞ源次。」
「じゃあ強くなれるように特訓しましょう。」
「…人の話聞いてたか?」

いやに強引にことを進めようとする信繁に信幸は危機感交じりのツッコミを入れるが
とうの信繁は意図的なのか無意識なのか聞いちゃいなかった。
さも名案だといわんばかりにわざとらしく手を叩き、ずずいと杯を突き出した。

「よく考えたら源三の潰れたところって見たことないですけど。酒に強くて悪いことってなかなかありませんよ。目上の人間に勧められても断るのに悩まなくていいですし、理性さえ保てれば醜態を晒さずに済みますしね。それに何より酒をいつまでも美味しく飲めます。」
「お前の場合大事なのは一番最後だろ。お前のところはともかく俺はそんなに酒を飲む必要性に迫られないからいいの。俺はちゃんと自分に限界を弁えてそれにあわせて飲める人間なんだよ。」
「人生何が起こるかわかりませんよ、源三。古の歴史を紐解いてみても酒盛りの最中に討たれたもの、酔い潰れて討たれたもののなんと多いことか。酒に強くなるのも一人前の武士の務めですよ。」
「今この時代にそこで武士を語るか…?っていうかそれなら俺じゃなくて親父に言え。ったく…そういう訳の分らん理屈を持ち出すのも向こうで身につけてきたのか?」

そんなことばかり、と呆れも隠さずため息を繰り返す信幸に、
信繁はさあ、どうでしょう?とはぐらかすように笑った。
まったく、性根は変わってないと信幸は苦笑すると同時に安堵の息を漏らした。
(変わって欲しいと思いながら、勝手なもんだ。)
同じ姿形を分けた片割れでありながら、影として生きてきた双子の弟。
まだ世が戦乱に告ぐ戦乱に明け暮れた時代ならばそれ受け入れることも出来たかもしれない、
が時代が変わった今、信幸は弟に、それまでとはまったく違った人生を生きて欲しかった。
だから期待した。寂しいけれども遠く離れた地でまったく違う人に、価値観に触れての変化を
信幸は弟に期待した。そして確かに弟は変わりつつあるけれど。
(いい加減弟離れしろってことかなぁ…そりゃそうか、この年にもなって。)
何だか親父臭い感傷に浸ってしまったことが恥ずかしくて一気に杯を煽ってしまい、
少し遅れてしまった、と後悔する。ああ、これで今夜は確実に潰れた。
違うんです叔父上。いや確かに俺の甘さですけれど。違うんだ小松。許してくれ。
しかし信幸の諦念と予想に反して、白い杯が新しい酒で満たされることは無かった。

「源次、もう…いいのか?」
「散々止めたがってたのに何言ってんですか。まあそれもそうだってことです。源三の言うとおりですね、この辺で止めておきましょうか。義姉上に怒られるのも恐ろしいですしねぇ。」

信繁は残念そうに、しかりにっこりと笑って酒をひっこめた。本当に止めるつもりらしい。
信繁の意外な行動に信幸は暫し呆然としていたが、ふと我に返るとほっとすると同時に
何だか拍子抜けしたような罪悪感がこみ上げてきた。
やはり自分は弟離れが出来ていないらしい。甘やかしだと分っていながら
あと一杯だけな、と杯を突き出せば、信繁は目を丸くしてしかし心底嬉しそうに頷いた。
お互いの杯に、最後の酒が注がれていく。

「そっちのとっておきじゃなくていいのか?」
「ええ、しめに飲むにはこっちのほうが。」

今日はこっちをしっかり味わいましょうか。
なんだか随分と”を”の部分がが強調された物言いだった。
信幸はこれで終わりなのだから、と思ったが信繁には拘りがあるようだ。
そして信幸と一晩中飲み明かす野望は捨てていないようだった。
とっておきの一本を見やって笑うその顔が薄ら寒い。
やっぱりこれから甘やかすのは止めよう…と信幸はゆれる水面を見つめながら早くも後悔した。

「おいおい、次はいつか知らんが俺は潰れるまでは付き合わないぞ…今回だって飲みすぎだ。」
「………ち。」
「…お前性格変わってるぞ。」
「源三が付き合ってくれないからです。久しぶりなのに。一人で飲む酒ほどつまらないものはありません。」
「…お前そう言いながら結構飲んでるじゃないか。別に…向こうでだって酒に付き合ってくれる人なんて山ほどいるだろ。ほら、義父上殿とか。」

義父上――大谷刑部の名を出した瞬間、
信繁の眉が一瞬バツが悪そうに顰められたのを信幸は見逃さなかった。
(ああ。要するにまだなのか。)
実のところ信繁は義父が今だ苦手なようだった。
基本的に真田家以外の人間に好意も悪意も抱くことのない
―無関心な悪癖をもつ信繁にしてはそれは酷く珍しいことだった。
苦手といっても恐らくは嫌悪ではない―――多分それは、好意に属する戸惑いなのだろうと
信幸は思っている。義父は良くも悪くも自分たちの身の回りには居なかった種の人間だ。
しかし、気持ちは分る。
正直なところを言えば、信幸もあの義父は苦手だった。勿論嫌悪ではない。
(…なんつーか、こう申し訳ないような気持ちになるんだよなぁ…何でか。)

「とにかく。」

穏やかな弟の義父の顔を思い出しそこはかとなく自己嫌悪に陥っていた信幸の思考は
無理矢理話の流れを断ち切らんとする信繁の咳払いによって中断された。

「俺は今日源三と酒を飲みに来たんです。残念がったっていいでしょう。」
「お前のそれは稀な分恨みがましいんだよ…親父だっていいだろ酒を飲む分には。」
「親父殿とはもう昨日飲みました。」
「親父が今日潰れてたのはお前のせいかよ!!っていうかお前二晩目なのか!?」

弟の予想以上の底なしっぷりに思わず眩暈がした。
昨日今日の宴会で幾らかかっているのかなど知りたくもない。
(死ぬ!こいつの酒盛りに付き合っていたら絶対死ぬ!!)
自分よりはずっと酒に強い父親を潰して平然としている目の前の弟に戦慄しつつ、
そう遠くない未来その餌食になるのは自分だと思うと笑顔も不自然に引きつった。
しかし目の前の信繁はそんな信幸など目にもくれず、最後の杯を勢いよく煽った。
普段なら随分な速度で飲んでいても最後の一杯は大事にする筈の信繁にしては
意外な行動だった。ふと、違和感を覚える。

「…源次?」
「…源三がいいんです。」

俯いた表情は普段どおりの曖昧な無表情だ。

「今日は、源三と飲みに来たんですよ。」
「…お前、酔ってんのか?」
「酔ってなんかないですよ。」

変なこと言いますね、と首をかしげる表情は始めのそれと変わらない。
だが、しかし。
(…今夜は随分とムキになると思ったが。)
そういうことか、と信幸は一人で納得し、あからさまにため息を吐いた。
あまりにあからさまな様子に信繁が何か文句を言っているようだが、気にも留めなかった。
答えが出てみれば簡単だ。なんとも単純、なんとも情けない。そんな理由。
しかし信幸はそのくだらなさに、むしろ安堵の息をついた。
(お前にもちゃーんと、悩む心くらいはあるわけだ。)
無意識なのだろうがその心労を酒にぶつけるのは正直どうかと思うが。
兄さんお前を心配しすぎちゃってたよ。とくつくつと笑いを殺しきれず笑い、
信繁はそんな信幸の様子にやはり不満らしく、何ですか、と眉を顰めた。
(…俺も甘い。)

「源次。」
「はい。」
「今日はこれで終いだ。正直、俺も疲れてる。」
「…はい。」
「疲れてると酒が回りやすいらしい。だから、そのとっておきは今度また元気なときにな。」

さぞや美味しいんだろうな。
ニヤリと笑いそう言って同じく最後の杯を一気に煽ってしまう信幸を
信繁は暫く目を丸くしてみていたが、一瞬またバツの悪そうな顔、目を逸らし、
息をついて、困ったような、しかし喜びを隠し切れない表情と声ではいと答えた。
酒を無理に一気に煽ったせいで更にくらくらする頭の隅で、信幸はまたため息をつく。
(…本当に、俺は甘い。)
無意識に身内に甘えをぶつける(しかもぶつけることがたちが悪い)信繁も信繁だが、
要するに自分も弟離れができていないのだ。分っていながらついつい甘やかす。
自覚していながら中々止められない、ここまで来てしまうともう性分だった。
(いやいや良くない良くない。あいつの為にならないからな、今回だけだ、今回だけ…)
そんな自分に呆れるため息は、しかしどこか幸福に満ちていた。
随分散らかしてしまった宴会の後を片付けながら、二人はいつもどおりに笑いあう。

「次は厳選に厳選を重ねますからね。源三も途中で潰れないように訓練しといて下さい。」
「嫌だよわざわざ面倒くさい…ただでさえ小松にいろいろ言われるんだぞ。それよりお前、そのとっておきとやらちゃんと取っとけよ?途中で飲んじゃいましたーとか洒落にならないぞ。」
「酷いですねー、源三人を何だと思ってるんですか。飲みませんよ、絶対。」

本当か?と信幸が疑わしい目で信繁を見やれば
信繁はからからと笑って「絶対です!」と更に念を押す。
酒を抱えて外に出ようとした信繁が振り返って笑ったのは
片付け終わってお互いの寝所に戻ろうかと言うときだった。

「絶対飲みませんよ。あれは、源三と飲む為に取っておいたんですから。」

それでは、と振り向かずさっさと行ってしまう信繁の足取りはしっかりとしていて、
自分のふらつく足取りを考えると今日は確実に一方的に損をした、と信幸は思う。
しかし恐らく次はこの比ではないのだろう。
そのときのことを考えると自分の発言が軽率だったのではないかと後悔の念が沸いてくる。
(…でも、まあ)
いいか、たまには。
そんな風に体裁など考えずに酔いつぶれてしまうのも――悪くないかもしれない。
そんなことを考えるなんて今夜は酷く酔っているのだ、と頭を振りながら
信幸はとりあえず厠に向うことにした。
夏の終わりに相応しい、涼やかな風の吹く夜だった。









これはゴメンなさい(ジャンピング土下座)
仲良く仲良く…と考えていたらこれは何か違う…な出来になってしまいました。
コンセプトはお兄ちゃんな信幸と(珍しく)甘える信繁でしょうか。
信繁はどう見てもブラコンです本当にryって感じですが…これでご勘弁ねが(強制終了)
お互い身内にだけは甘いし甘えるし、みたいなある意味閉鎖的な関係(語弊がある)が書きたかったのですが・・・酒ネタは一回やっておきたかったので自分だけはすごく楽しかったです…!(お前だけがな)
リクエスト、どうもありがとう御座いました!!

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