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日本史(戦国史)やらゲームやら漫画やらメインに 二次創作と妄想を垂れ流すサイトです。 初めての方は”はじめに”からどうぞ。
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writer:柴漬亀太郎 2024-04-27(Sat)  
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久々の。
writer:柴漬亀太郎 2008-08-07(Thu) 戦国(小説) 
結構前に書いたやつで、あまりにも萌え重視でこれは酷いと思ったんですが、
うん、まあ出すだけ出してみようかなみたいな話(何じゃそりゃ)
久しぶりの戦国現代学園パロの昌幸と家康の話。
コンセプトは昌幸と家康を仲良くさせようぜ!まあ結果は言わずもがなです(えええ)
家康が囲碁好きだと聞いてカッとなってやった。今はかなり反省している。でも萌えた(オイ)

戦国武将の名をかたった学園パロなのでそういうのが苦手な人は注意してください。
あとはまあ今までの話とは若干毛色が違うというか転生みたいな要素が無くは無いけど
有るとも言えず無いともいえない感じなので(意味不明)注意してください。


戦国時代とは名ばかりの妄想甚だしい学園パロディですよ!それでもよろしいですか?
何が来ようと受け止める覚悟は出来てるぜ!という方のみそのままで。
家康に夢見てる感じが非常に気持ち悪い。

学パロで学生家康と昌幸
↓↓↓↓↓


















「真田は僕のことが嫌いなのか。」

カシャン、と昌幸の手から滑り落ちた白い碁石が碁盤の上の石たちを散らす。
対局相手が慌てた声を出すが、覚えているから問題ない、と黙々と碁石を並べなおした。
(いきなり、何を言うかと思えば。)
それが呆れか或いは怒りかその他かは分からないがとりあえず落ち着け、と自身に言い聞かせる。
手を滑らせたのは図星をつかれたからではない。
あまりに質問が唐突でナンセンスだったからだ、昌幸はそう思っている。

「何で。」
「僕を目の敵にしていないか。」
「別にしてない。」
「部活の見学も渋った。」
「本入部する気があるようには見えなかった。」
「入部したってこうやって君と一局打たせてもらうにも酷く時間がかかった。」
「………たまたま都合が合わなかったんだろ。」

そう言ってふい、と窓の外に顔を向け会話を打ち切ってしまった昌幸に
家康は少々ムッとしたが、その場は黙って自分の碁石を手に取った。
この我慢強さが彼の美徳だと人は言うが昌幸はそうも思わない。
我慢強いのはいい。だが、堪えた分は必ずどこかで還元される。
無かったことにしない、という点で彼は愚鈍ではないが
それ故にそう簡単に気を許せる人間でもない、と昌幸は思う。
(…確かに、好きな部類の人間ではない、が)
多分嫌いでもないはずだ。…多分。おそらく。
平静を装いながら、碁盤の上にまた一つ白を重ねる。

「正直僕は真田に嫌われてると思ってる。」
「……そうか?」
「…だから出来れば率直に言ってほしいんだけどな。僕のことが、嫌いか?」
「…………。」

しばしの逡巡ののち、音はカツリと跳ね返った。
随分と答えにくい質問をぶん投げてくれるじゃないか、と昌幸は内心いらだった。
例え嫌いだったとしても面と向かって嫌いだと言えるかと言うとそのぐらいの良識はある。
第一そんなことを家康に言ったならばあの過保護な取り巻きどもが黙っていないだろう。
不思議なことにどっかから聞きつけてはやってくるのだ。正直面倒くさい。
昌幸は家康が嫌いではないが敢えて言うならばこういうところは嫌いだった。
なんというか、真面目と言うか、真っ向から対峙したいタイプの人間ではないのだ。
やり場の無い苛立ちをせめて相手に気取られないように気を払ったが、
碁石は予想以上に大きな音をたてて碁盤上に押し込まれた。
確かに彼を避けがちであったことは認める。

「…何でそんなこと気にするんだよ。別に俺とお前はクラスも同じでもないし、特別親しくなる理由も無いだろう。馬の合わない人間の一人や二人、いてもおかしくない。」
「…それは、そうだけど。」
「…仮に俺に嫌われていたとしても問題ないだろ。お前、友達多いじゃないか。正直俺なんかと親し

くなっていいことなんか別に無いぞ。お前の周りの奴らなら止めるんじゃないのか?」
「そういう利害関係がどうこうではないだろう。それにちょっと卑下し過ぎなんじゃないのか。」
「卑下してるつもりはないんだがな…何だよ、どうしたいんだ。例えば俺一人に嫌われていることがそんなに問題か。まさか人はこの世全ての人間と仲良く出来て、そう在るべきだなんてなんて世迷いごとを言うんじゃないだろうな、お前は。冗談じゃない。」

そう言ってから少し後悔した。
気づけば感情のままに早口にまくしたててしまったようで、自分の悪癖に舌打をする。
これではほとんど家康のことが(嫌いとは言わないまでも)苦手だと言っているようなものだ。
家康はといえば流石に少し傷ついたような顔をして碁盤に目を落とす。
それは事実だ。昌幸は家康のことが嫌いではない。苦手なのだ。
理由は無い。嫌なことがあったわけでも、何かもめたわけでもない。
初めて出会ったときから、ただ何となく、昌幸は家康が苦手だ。
自分でも不思議だ。自分の周りにいる人間と比べれば家康は比較的善良な部類に入るだろう。
連鎖的に自分の周囲に蔓延る”善良とはいえない”人間たちの癪に障る笑い声が脳内再生され、
自然と眉間に皺がよる。それを昌幸が更に苛立っていると勘違いしたのだろう、
何をしたわけでもないだろうに、堅苦しく頭を下げてすまない、と謝った。
普通に考えたならば謝るべきは自分のほうだと分かっていながら、昌幸がしたことといえば
別に、とぶっきらぼうに返すことだけだった。大人気ないにも程がある。
(……嫌いでは、ない。嫌いじゃないぞ、別に。…けど)
だったら、この言い表しようの無い居心地の悪さはなんなのだろう。



 

放課後独特の閑散とした空気に広げられる狭い部室に居るのはいつの間にか家康と昌幸だけだった。
最終下校時刻10分前を告げるチャイムが古いスピーカーから妙な加工音となって響き渡る。
勝頼と土屋は大会前だ、特別に遅くまで部活だろうし、曽根はバイトに行くと早くに帰った。
ならばもうすぐこの部室にやってくるのは彼の小うるさい友人たちだけだろう。
それまでにこの対局が終わればいいのだが。
さっさと終わらせてしまいたいだけならばわざと手を抜けばいい。
目の前の彼にそうと悟らせない(例え悟られても手抜きかどうか疑わしい程度の)レベルで
手加減をすることなど昌幸似は容易いことだ。それをしない理由を考えたくはなかった。
自分の手を終えて家康の一手を待つ間、昌幸はパイプ椅子を傾けてぼんやりと窓の外を眺めた。
走り回るサッカー部の中に友人の姿を探そうかと思ったが8秒ほどで諦めて、
視線を校門の外へと移す。長く伸びた影が消え去る坂道は、昌幸の帰り道だ。

 

ふと、急に酷くあの坂道を駆け上がりたい衝動に駆られた。
あの坂道を上がって、商店街を抜けた先の自転車屋の先で左に曲がる、そこから川を渡って
ずっと、ずっとまっすぐだ。曲がりくねった道を飽きるほどまっすぐ行った先にようやく、
古ぼけた寺の中に宿るぼんやりとした光を見つける。昌幸が生まれ、ずっと育った家だった。
父が適当に直したせいで見るも無残な寺の門をくぐれば、あまり広くは無い境内にいるのは
愛犬の散歩から帰った父と兄、弟だ。夕飯のときを告げる母の声と、姉、騒ぐもう一人の兄の声。
胸を掻き毟られるようだった。今すぐあそこに帰りたい。出来るだけ早く走って、走って。
お帰りなさい、と微笑む家族の声が無性に聞きたい―――――!




「――――ッ!」

がくり、と視界が揺れたような気がした。何もかもが一瞬にして遠ざかり、
気づけばそこは夕日に赤く染められた見慣れた部室だった。当たり前だ、そこに居たのだから。
全身を狂ったような郷愁に支配された昌幸を現実に引き戻したのは
驚くほど怜悧に響いた(ように聞こえた)碁石の音だった。
残っても居ない音がキンキンと余韻を響かせているようで、全ての音が無性に遠い。
その何故だかはっきりしない、宙に浮いたようなあやふやさに包まれた空間で、
しかし、躊躇いがちに呟かれた家康の言葉はよく届いた。


「別に、…君一人特別と言うわけではない、ないけれど、……ただ。」
「………ただ…?」


キリキリと油を差し損ねたゼンマイ仕掛けの人形のように
ぎこちなく家康と向かい合えばその鳶色の瞳と正面からかち合った。
その瞳がいつに無く真剣で、しかしどこと無くいいようのない悲しみを湛えているようで
昌幸は目を逸らしたくてたまらない自身を必死に押しとどめた。
意味の分からない衝動にかきたてられて平然とした態度を取り繕うだけで一杯一杯だった。
聞いてはならないような気がした。
けれど、聞かなければならないような気がした。
昌幸は、家康が嫌いではなかった。嫌いではないのならば、一体なんだというのか。
答えを知る為には踏みとどまらねばならなかった。
ほんの数秒だ。けれど家康の視線から逃れなかった昌幸の姿を見て家康はほんの少し驚き、
穏やかに、嬉しそうに微笑んだ。まるで前世からの宿願でも叶ったかのように。
だから、その顔が何だか泣きそうに見えただなんてなんて馬鹿馬鹿しい見間違いだろう!


「今度は、仲良くできるかと思ったんだ。」

 

 

 

 

 




 

カツリ、と小さな音を立てて碁石がまた一つ盤面に乗った。
昌幸は黙って、自分の碁石を拾い手を伸ばした。今度は、石は落さなかった。

(今度は。)

言葉の意味など知らない。多分、単なる聞き間違えか言い間違えかどちらかだろう。
けれど不思議に耳に残る言葉に危うく共感しそうになる自分に少し戸惑っていた。
いいや、共感という言い方は正しくない。共感などではない。
石が音を立てる。一つ、また一つ、いつの間にか二人の間にあるのはそれだけだった。
呟いた家康も、受け取るべき昌幸も、まるで先ほどのやり取りなど無かったかのように
ただ黙って盤上の戦いに集中している。
昌幸は家康を嫌いではない。知り合って間もない。嫌う理由が無い。嫌う意味も無い。
それは確かな事実だ、事実だが。

(今度は、じゃない。”今度も”無理だろうよ。お前の望む通りには、”今度も”ならない)

何故かは分からない。何故そう思うのかも分からない。しかしそれは酷く冷たい確信だった。
冷静に考えれば酷く自分自身と乖離しているそれは、何故だかすんなりと溶け込んだ。
如何に心中に葛藤あれども、碁盤の先を見る目は冷静だ。それが答えだと、昌幸は思っている。
カツリカツリ、と放課後の部室に石の音が響く。
家康も昌幸も、もう何も喋らない。次に開く言葉は単なる投了の合図だろう。
家康が、自分が何故そんなことを思うのか昌幸には分からない。
ただ漠然と答えが出てしまったことを惜しむ自分がいるような気がしてならなかった。
そんなものは気のせいだと分かっていながら、
もうはっきりと思い出せない彼の笑顔がちらちらと頭を離れなかった。
昌幸は、家康が嫌いではなかった。

 

 

(嫌いじゃない。”今度は”、嫌いじゃない筈だった。)

 


(けど、そこはやっぱり、俺の場所じゃない。)

 

 

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