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日本史(戦国史)やらゲームやら漫画やらメインに 二次創作と妄想を垂れ流すサイトです。 初めての方は”はじめに”からどうぞ。
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writer:柴漬亀太郎 2024-04-27(Sat)  
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出すタイミングを完全に見失いましたが何か?
writer:柴漬亀太郎 2010-04-18(Sun) 戦国(小説) 

もうこんな風に開き直るしかないほど機を逸した書きかけのゴミ達が無駄にフォルダに溜まってます。
フレプリのラビリンス話とか今更どんな顔で出したらいいのか分らない。
毎回毎回旬を過ぎてからハマる上に遅筆なので救いようがないです。VP2も書くよ!TOHもやるよ!!
そんな私が今七割過ぎて詰まっているのは「もしも貴方の室町将軍が12人になったら…」という
私の私による私の為の室町ハートフルラブコメディー…真剣に頭が悪すぎる発想でどうしよう。




「幸福の家」(幸隆と勘助と)
大河「風林火山」放送時にボチボチ書いてたものをサルベージ。
微妙に大河ベースぶっちゃけ我が家仕様で昔語ってた妄想ネタが使われています(痛い)
あとかっこいい幸隆様とかいないです。内野●陽もいないです。
まあ、何が言いたいかっていうと閲覧注意ってことですよ。
 












今日も真田屋敷に子供たちの甲高い声が響く。
時々悲鳴のようにさえ聞こえるそれとだんだんだんと響く物音と足音を遠くに聞きながら、
勘助は目の前で腹を抱えて笑い続ける男を一つっきりの呆れ果てた瞳で見ていた。
目の前の男といえば何が面白いのか、いや事実何もかもが面白くてしょうがないのだろうが、
このまま放っておいたら笑い死ぬのではにかと思うくらい笑い転げている。見事な笑いっぷりだ。
遠くで響く声と目の前の笑い声に挟まれて、勘助はすっかり癖になってしまったため息を吐く。
こういうことを言うと何もかもが台無しになるのだが、
実はこの男のこういう姿はちっとも珍しくなかった。むしろ日常茶飯事である。
武田が誇る先方衆が一人、攻め弾正こと真田幸隆は三度の飯より悪戯が好きな性質の悪いおっさんだった。

「………………今度は一体何をなされたのですか、真田殿。」
「ひー、ひー……おうおう、何だ勘助。その言い方ではわしが何やら仕組んだようではないか。」
「事実でござろうが…先ほど信綱殿が酷く青ざめたまま全力疾走しているのを見かけましたぞ。」
「そうかそうか……くく、うくくくくくくく……!!」

言い逃れをするつもりなど微塵も無く、むしろ自分が犯人だと見せ付けんばかりに
再び笑い出す幸隆に、勘助は本日恐らく二度ではすまないであろうため息を再び吐いた。
幸隆が言うには本日の騒動はこの通りだ。
幸隆は幼いころから子供たちに妙な言葉を覚えさせるのが好きだったようで、
たまたま猫を”にゃんにゃん”と呼んでいたらしい。当然子供たちはそれを覚える。
成長した子供たちはそれが世間と如何に食い違っているかに気づいたが、
長年癖になったものは戻らない、あまりに恥ずかしいその暗黒部を必死に気を張り制御してきた。
しかし、先ほど、ついうっかりだ。恐らく別のことに気を巡らせていたのだろう、
一家の長男信綱は、人前で――ほんとうについうっかりだ、口を滑らせてしまったらしい。
その後はもう大体言わずとも分かるだろう。
生真面目な信綱は自分のしでかした失態に青ざめ、羞恥と自己嫌悪で現在納屋に引篭もり中である。
そして現在硬く閉ざされた納屋の周りで、彼を慰めんとするいたいけな弟たちによる
天岩戸大作戦(幸隆談)が実行されているというのである。詳細終わり。
要するに幸隆の時をかけた悪戯心が表れた結果なのだった。
あんた自分の子供で遊んでどうする。思っても勘助は言わない。言っても無駄だからである。
子供たちの不憫さを哀れみながらせいぜい目の前の男をじと目で見るくらいであった。無力だ。

「いやもう本当に源太ってばわしの息子にしてはありえないくらい生真面目というかな…!!反応で言えば源五郎と違って素直すぎるきらいはあるが…やはりこちらもやりがいがあるというものだ、いやいや流石わしの息子で真田の嫡男。ああ、うちの息子どもはまこと面白い!」
「……ご子息が哀れでなりませぬ……」

ああ、哀れなる子供達よ。悲しいかな子は親を選べないのだ。
勘助はただただ子供達の健やかな成長を祈らんと心中で静かに手を合わせた。
…ところでこういうのは誰に祈ればいいのだろうか。摩利支天…ではない気がする。 

「面白いことが好きなのよ。」

幸隆はにやり、と笑ってそう言いきった。
幸隆が面白いことを何より好むことはよく知っている。というか身にしみてよく知っている。
自分もこの男の悪癖には何度も何度も被害を受けたものだ。思い出したくもない。
それだけ信頼されているのだ、親しい人間なのだと言ってしまえばお終いなのだが
だからといって何をしても言い訳ではないだろうに。自慢の草の者たちを無駄遣いしないでくれ。
自信満々に胸を張る幸隆には勘助の長年の恨み、非難交じりの視線は無意味だった。

「面白ければなんでもよいというわけではないでしょうに…」
「まあ、その通りだがな。勿論行動にはある程度意味と意思と意義が必要だ。だからお前のときはわしも誠心誠意、細心の注意と綿密な準備と計画を持って事に望んだというのに…つまらん男だ。」
「相変わらずあんたのせいでとんでもないことになった件についての謝罪はないんですか。」

とにもかくにも人への好意の示し方というものが根本から間違っている男だった。
米神に浮かびそうになる血管を(健康の為にも)押し留めながら勘助はげんなりと白湯を啜る。
勘助は思い出す。朝起きたら家中どころか国中に自分の結婚報告がばら撒かれていた日を。
会う人会う人に祝いと嫌味と恨み言を投げかけられ、由布姫には「そう」で片付けられ、
信玄には子供の名前を聞かれ、勝頼には子供の希望数を聞かれ、馬場には祝言の日取りを聞かれ、
誤解を解いて周ってくたくたになって帰れば既にほほを染めたリツが三つ指立てて座っていて、
その晩というか直後には全身を赤い鎧で固めた原美濃が怒号と涙と共に襲撃してきた。
そういやどこで借りてきたんだろうか、あの鎧。
結局誤解が誤解だと完全に分かってもらえるまでまるまる一ヶ月かかった。
というか勘助がいち早く幸隆の仕業だと気づいてその行動を押さえにかからなければ
今頃自分はリツと結婚することになっていたかもしれない。
勘助が真田邸に文句と共に怒鳴り込んだとき、この男は優秀な草の者たちを総動員して
祝言の招待状を書いていた。見つかったときの悪びれも無い表情は今でも忘れない。
あの事件を思い出すだけで全身にどっと疲れが押し寄せてくるようだ。
結局由布姫には「そう」で片付けられ、晴信には残念がられ、
勝頼には本気で未来を心配され、馬場には贈り物を用意した手間をどうしてくれると怒られ、
リツにはこっそり舌打ちをされ、原美濃には勿論思い切りぶん殴られた。理不尽だった。

「くそー…あれだけの速さで見破って噂の根と言う根を断ち切って見せたお前は流石だがなー。あーあ…二ヶ月もかけて準備したのになぁ。源五郎にも”山本殿のためだ!”とかいって協力させたのに。お前俺の可愛い息子の純情を弄んだ挙句あの仕打ち、痛む心さえないというのか!」
「その台詞はそっくりそのままお返しいたすのですがな!!あんたあの後ちゃんと謝ったんでしょうな!?」
「お前には一応謝っただろう。」
「それはそれは奇跡的なほど誠意の欠片も感じられない謝罪を頂きました。」

もはや謝罪とは呼べないそれを。
不満げに唇を尖らせる仕草はいい年こいたおっさんにやってもらっても気持ち悪いだけである。
勿論愛嬌もクソもあったものではない。失敗失敗!と舌を出して形のよい頭を叩いた
あのときの幸隆の顔を勘助は忘れたくても忘れることが出来ない。しかも謝ったつもりらしかった。
そんな青ざめた勘助の顔が更に面白くてたまらないのか、幸隆は再び声を上げた笑い出した。
それにしても気持ちのいいくらいよく笑う男だ。
そろそろ呆れも通り越そうかという勘助の片方だけの瞳と、ふと。
天井を仰いでいた幸隆の――笑いすぎてほんの少し涙の滲んだそれがかちあった。


「面白いことはいい、好きだ。そうやって笑えることは、いつか必ず糧になる。」


それこそ地獄の中でも。
小さくそう続けた幸隆の瞳がほんの一瞬穏やかになるのを、勘助は確かに見た。
瞬きのような時間が過ぎると共に再びその目は意地悪く細められ、
三人のうちだれだろう、兄を呼ぶ言葉が届くを皮切りに盛大に笑い声が響いた。
幸隆は面白いことを何より好む。
恐らく馬場辺りに言わせれば一人でやって一人で完結して欲しいだろうそれは
例えば彼の家臣たちを子供たちを振り回し、嵐のような一騒動を起こしながらも
結局は笑い話になり、思い出話になり、生き生きとした力となって彼の家を駆け巡る。
笑い、泣き、憤り、悲しみ、悔しがり、喜び、逞しく。
訪れる真田家はいつだって生きる力に満ち溢れている。
まるで眩しいものを見るように勘助は目を細めた。
目を閉じれば嘗て彼の憧れたものたちが、瞼の裏を通り過ぎては消えていく。

「勘助、お前もいい加減気づけばいいのだ。」
「………………。」

何気なく、しかしはっきりと勘助に届くよう呟かれた友の言葉に勘助は沈黙で答えた。
年の離れたこの友の言はどんなに皮肉めいていようとおどけた体であったとしても、
相手を思いやる真摯な優しさを含んだそれであることを勘助は痛いほど知っている。
そして、幸隆が勘助の身を損得無しにどれだけ案じてくれているのかということも。
友の親愛を身に痛いほど感じながら、しかし勘助は口を閉ざさざるを得なかった。
幸隆の言わんとしていることを、分からない勘助ではない。
「気づけ」と幸隆は言っていたが、本当のところを言えば勘助はずっと前から気づいている。
勘助がそうして目を逸らし続けていることを、幸隆も知っている。
知っているからこそ彼はこうして時々彼に忠告を投げかけたとしても強制はしないのだ。
年下の友の心遣いに甘えることを恥じながらも、勘助は今日も押し黙る。
幸隆もそれ以上は何も言わなかった。何事も無かったかのように時間を置いて聞こえる
子供の甲高い声にくつくつと笑い声を殺している。
だから勘助も、何事も無かったかのように溜息をついて白湯を啜った。
子供達の悲鳴にどうしてやることも出来ない己の無力さを心中で詫びるばかりである。
とうとう我慢やら怒りやらやるせなさやらが頂点に達し、そして堰を越えたのだろう。
その意味までは聞き取れない甲高い叫び声を一度あげ、溢れる感情をありのままに映した
乱暴な足音と気配が、この事件の黒幕を捜してこちらに近づいてくるのが分かる。
喚く子供達の熱気が、家中の者達の呆れと驚きが、幸隆のしたり顔が、
家全体を巡り流れる空気となってありのままを勘助に伝える。
肌に染み入るそれに掻き立てられる心の疼きを、世の人はなんと名づけるだろうか。


 

(例えば、あの方は。)

 


勘助の想い出の中で、漆黒の長い睫がゆっくりと持ち上げられる。
勘助は同じ艶やかな漆黒に覆われた細く小さな背中を見つめている。背中だけを見つめている。
背中だけを見つめていても、勘助には分かる。人にどれだけ思い上がりと勘違いと罵られようとも。
たった一つしかなくなってしまった己が眼の盲目さを理解してなお、勘助は己を疑わない。



ああ、姫様。姫様は、今、確かに―――――

 






 

幸隆の笑い声がまるで足音を挑発するように大きくなる。それに応える様に気配は近づく。
悲しいかな、恐らく十中八九、足音の主たちはここに辿りついたとて
かの男の邪悪極まりない満面の笑みを微塵たりとも崩すことは叶わぬのだろう。
ならば、不肖この山本勘助、たまには弱きものの味方として其の知を奮ってみるべきではないか。
勝ち目の無い戦もたまには良い――いやいやいや、良くは無い。やるからには必ず勝利してみせる。
片方だけの瞳をついと上げると、天井から下ってきた男の視線とぴったり交わる。
面白くなってきた、と不適に笑う幸隆に勘助の顔も自然と緩んだ。
もはや当事者である子供達の事情などどこ吹く風、辿りついた先で彼らのまったく
知らぬ存ぜぬ関わりもせぬ戦いに巻き込まれてしまうことなど、子供達は知るよしもなかった。
静かにあがっていく幕の裏で、二人の男は示し合わせたように笑う。








惜しむらくは、其の笑顔を彼自身が見ることができないことだ。















幸隆様と勘リツのドタバタが書きたかっただけでしたごめんなさい。
しかも勘リツ入んなかった(死)

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